議会報告

  • 中村広美議員
    令和元年9月議会 代表質問(中村 広美議員)要旨(令和元年10月3日)
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    1 大阪・関西万博

    ・万博ビジョンにおける取組内容と府民意見の反映について問う。
    (知事答弁) 2025年大阪・関西万博を成功させるとともに、万博のインパクトを最大限活用し、「持続的に成長し、府民に豊かさを実感いただける大阪」、そして、「世界の中で新たな価値観を発信する都市・大阪」をつくりあげたいと考えています。
    そのためには、大阪府・市をはじめ関係者の力を結集して、交通アクセスの整備や防災対策、「おもてなし力」の向上など、万博成功のためにあらゆる準備を加速させることと併せて万博後の大阪の姿を描き出し、スマートシティや「10歳若返り」、SDGsの実現など、府民生活を豊かにする取組みを進めていかなければなりません。
    現在、こうした考えの下、ビジョンの策定を進めていますが、未来の大阪を府民の皆さんと一緒に創り上げていくためにも、今後、幅広くご意見をお聴きし、とりまとめていきたいと考えています。

    ・万博基本計画への府民意見の反映について問う。
    (政策企画部長答弁) 博覧会協会が策定する基本計画は、万博の根幹をなす重要なものです。
    これまで、協会では、経産省とともに「万博具体化検討ワーキング」において幅広い分野のおよそ100人の有識者からヒアリングを行ってきました。今後も、必要に応じて様々な方の意見を伺いながら基本計画策定のための検討を深めていくと聞いています。
    府としても、基本計画に反映される項目に関する各種検討会などに参画し、府議会での議論等を踏まえた意見提案を行っていくこととしています。今後とも様々な機会を通じ、必要な提言を行っていきます。

    2 海洋プラスチックごみ対策

    ・海洋プラスチックごみ問題への今後の取組みについて問う。
    (環境農林水産部長答弁) 海洋プラスチックごみ問題については、「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」の実現に向けて、先進的な取組みを進めるとともに、近隣府県も一体となって取り組むことが重要であると考えます。
    大阪湾の海ごみについては、全国に先駆けて、府、民間事業者、関係団体で構成する「NPO法人大阪府海域美化安全協会」において、漁業者の協力のもと、漁船による海ごみの回収を行っており、平成28年度からは、府としても国庫補助を活用し、その取組みを強化しているところです。
    また、回収が困難なマイクロプラスチックについては、これまでの国の調査に加え、府としても、本年9月と12月に大阪湾の南北2か所において実態調査を行い、現状を把握した上で、プラスチックごみの発生抑制について広く府民に啓発していきたいと考えています。
    さらに、今年度新たに設置した「おおさかプラスチック対策推進ネットワーク会議」において、ペットボトルやレジ袋等の使い捨てプラスチックの削減に向けた新たな取組みに加え、より効果的な啓発、教育手法についても、有識者や市町村等と検討を行っているところです。
    今後、これらの成果については、関西広域連合が設置している「海ごみ抑制プラットフォーム」の場を活用し、関西全体に広がるよう、府として積極的に取り組んでまいります。

    3 G20のレガシー 大阪産の利用拡大

    ・G20大阪サミットのレガシーを活かした大阪産の利用拡大について問う。
    (環境農林水産部長答弁) G20大阪サミットでは、農水産物や日本酒・ワインなど延べ115品目もの大阪産(もん)が活用され、生産者や製造事業者にとって大きな自信につながったものと考えています。
    この機を捉えて、大阪の食材をさらに広めるべく、引き続き、ホテル等の関係事業者に対して利用拡大を広く働きかけているところです。
    その結果、大阪市内のホテル等において、G20サミットで活用された食材を中心としたフェアの開催や、大阪産(もん)をメインにした日本料理店のオープンが、それぞれ11月に予定されています。
    また、大阪産(もん)への関心を高めるため、昨日(※令和元年10月2日)から百貨店の催事としては初めてとなる「大阪産(もん)大集合」を開催しています。
    さらに、東京オリンピックなど世界的なビッグイベントにおいて、大阪産(もん)が採用されるよう働きかけるなど、あらゆる機会を捉えて情報発信しています。
    これらの取組みにより、G20大阪サミットのレガシーを活かして、大阪産(もん)のさらなる利用拡大に努めていきます。

    4. 就職氷河期世代への支援

    ・就職氷河期世代に対する今後の支援策について問う。
    (知事答弁) 国が計画しているプラットフォームは、大阪労働局が事務局となり経済団体等、関係機関が連携して都道府県単位で事業計画を策定し、不安定な就労状態にある方や長期にわたり無業の状況にある方、また、社会参加に向けた支援を必要とするひきこもりの方などへの取組みを行うものと聞いています。
    一方、大阪府では、既に総合就業支援拠点OSAKAしごとフィールドにおいて、就職氷河期世代を含む中高年齢の方をターゲットとした就活セミナーなどに取り組んでいるところです。
    今後、プラットフォームに庁内関係部局が参画し、安定的な正規雇用や社会参加につながる丁寧な支援策等について、国や関係機関と協議していきたいと考えています。

    5.中高年のひきこもり支援

    ・支援人材の養成とひきこもり地域支援センターの機能充実について問う。
    (福祉部長答弁) ひきこもりに係る相談は、その背景、内容もさまざまであり、当事者や家族にとって身近な市町村において、相談窓口が整備され、適切な支援機関につなげることが望ましいと認識しています。
    このため、大阪府ひきこもり地域支援センターにおいて、市町村など、支援に携わる相談窓口や支援機関などに対し、支援手法についての専門的な助言や、支援に必要な知識、技術を習得するための研修等を実施しています。
    また現在、川崎市や東京都練馬区の事件を受け、当面の措置として、こころの健康総合センターの協力を得ながら、当事者等の直接相談にも対応しているところです。
    今後、相談の状況や国の動向等を踏まえ、市町村との連携強化など、ひきこもり地域支援センターの機能の充実について検討してまいります。

    6.ひとり親家庭支援

    ・ひとり親家庭の経済的自立のための取組みについて問う。
    (福祉部長答弁) 子どもの貧困対策を進めていく上で、経済的に厳しい状況におかれているひとり親家庭等への支援が重要と認識しています。このため、就業に関する相談や講習会、就職情報の提供など、雇用を通じた経済的自立を目指す取り組みを進めてきました。
    現在策定中の「第四次大阪府ひとり親家庭等自立促進計画」では、これまでの取組みに加え、「ひとり親家庭の親の雇用に関し、特に優れた取り組みをした事業主への顕彰の実施」や「養育費確保にかかる支援策の検討」など、安定的な雇用や経済基盤の確保を一層進めていきたいと考えています。
    今後とも、関係部局で密接に連携を図りながら、ひとり親家庭の自立促進に努めてまいります。

    7.重度障がい者の就業支援

    ・重度障がい者の就業中の支援について問う。
    (福祉部長答弁) 重度障がい者の通勤・就労中の支援については、本来、国において全国共通の制度として整理されるべきであるが、現在、府として、独自の制度について、検討しているところです。
    具体的な制度設計にあたっては、労働等の既存施策との関係、当事者の経済的な状況の考慮なども含め、対象者の範囲や支援内容等の検討を行っています。
    ご提案の内容も含め、重度障がい者の通勤・就労中の支援方策について、関係部局・市町村とも十分連携を図りながら、検討を進めてまいります。

    8. 児童虐待対策

    ・児童虐待防止のための一層の体制強化と大阪児童虐待防止推進会議の今後の活用策について問う。
    (知事答弁) 自分の親から直接虐待を受けている、もしくは親の交際相手から虐待を受けている子どもを守ることは、社会の、行政の役割であり、子どもを虐待から守る環境づくりに、力を入れていきたいと考えています。
    このため、府としては、「安全確認業務における民間団体との連携」や「児童虐待通告事案の警察との全件情報共有」等を進めてきたところであり、とりわけ、子ども家庭センターの体制強化については、今年度、児童福祉司の増員計画を策定するなど、着実に取り組んでいくこととしています。
    また、推進会議では、「LINEを活用した相談窓口の設置」や「府・市町村と警察との合同研修」、「オール大阪での児童虐待防止のための啓発活動」などについて検討していきます。
    今後とも、重大な児童虐待ゼロを目指し、推進会議を通じて実効性のある具体的な取組を確実に進めていきたいと思います。

    9.介護人材確保

    ① 介護人材確保のための効果的な取組みについて問う。
    (福祉部長答弁) 府においては、介護・福祉人材確保戦略に基づき「参入促進」「労働環境・処遇の改善」「資質の向上」という3つのアプローチにより必要な施策を実施しています。
    介護・福祉サービスを安定的に提供するためには、若者世代の参入促進が喫緊の課題であると考えており、昨年度は高校生をターゲットに、プロモーションビデオの制作・配信を行うとともに、今年度は、マンガ・イラストを効果的に用いた、わかりやすい「イメージアップ戦略」を実施していく予定です。
    今後、職業としての介護の魅力アップに加え、高校生向け出前講座の拡充や小中学生をターゲットとした事業展開についても、検討します。

    ② 福祉人材支援センターの今後の方向性について問う。
    (福祉部長答弁) 介護・福祉人材の確保・定着にあたっては、福祉業務に関する専門的知識や事業所の情報を多数有している、大阪福祉人材支援センターの機能を十分生かすことが期待されています。
    一方、福祉人材センター事業については、府のみならず全国的にもマッチング件数や利用者の減少などの課題を抱えている状況にあります。
    府としては、大阪府社会福祉協議会の強みを生かして、福祉人材支援センターがより効果的に機能を発揮できるよう、同協議会と協力して今後の方向性を検討してまいります。

    10.医師確保

    ・医師偏在の実態把握と医師確保のための取組みについて問う。
    (健康医療部長答弁) 議員お示しのとおり、国の医師偏在指標はあくまでも相対的な偏在状況を示すものであり、必ずしも府内の実情を反映しているとは言い難いと考えています。
    府としては、府内の実態を把握するため、医療機関及び医師個人に対して医療需要や勤務実態等の調査を行い、独自に必要医師数を設定することを検討しています。とりわけ二次医療圏間で偏在の見られる産科、小児科については、少子化の影響や医師の働き方改革の視点も踏まえ、具体的な検討を行うこととしています。

    11.健康づくり

    ・健康アプリ アスマイルの一層の活用策について問う。
    (健康医療部長答弁) 今月28日からのアスマイル本格実施にあたっては、操作性の向上や、より楽しんでいただける機能等を盛り込んだ全面リニューアルを行うとともに、民間企業と連携し、特典の拡大や、健活に関連した商品等を提供するクーポン機能など、参加者へのインセンティブを充実していきます。
    また、国保被保険者への周知に向け、市町村との連携を強化することとしており、広報媒体の活用や、健診受診券等送付時にチラシを同封することにあわせて、市町村と企業が80の健康づくりイベントを行う「おおさか健活フェスタ2019」と連動するなど、アスマイルがより多くの府民に浸透するよう、取り組んでまいります。
    また、がん検診の受診率向上に向けては、検診の受診や、がん検診のセミナー等への参加に対し、ポイントが付与される仕組みを用意しているほか、健康コラムによる啓発や、アンケート機能による受診状況の把握など、アスマイルの様々な機能を活用して取り組んでまいります。

    12. ギャンブル等依存症対策

    ・ギャンブル等依存症対策について問う。
    (健康医療部長答弁) ギャンブル等依存症対策推進計画の策定にあたっては、庁内関係部局と連携するとともに、学識経験者や医療機関、民間支援団体などの有識者の意見や、パブリックコメントにより府民の意見もお聞きした上で、来年3月末を目途に計画を策定します。
    計画においては、依存症対策に関する海外の先進事例も参考に、相談機能と医療機能が連携した府独自の支援体制の構築や、依存症に対する理解の普及啓発、予防教育等の強化などについて検討を進めています。
    また、計画の進捗管理にあたっては、外部の委員で構成する大阪府依存症関連機関連携会議において意見をお聞きするとともに、取組状況の見える化を工夫するなど、計画の実効性を高めていきます。

    13.外国人定住支援

    ・外国人が安心して暮らすことのできる環境づくりについて問う。
    (政策企画部長答弁) 外国人労働者等を対象に先般実施したヒアリング調査では、日本語教育の充実、地域交流の場づくり、外国人材への生活関連情報の提供等、暮らし全般に関するニーズや課題が明らかになりました。
    こうした課題を克服し、外国人にとって魅力的な生活環境づくりを進めることが、円滑な受入れを図る上で不可欠であると認識しています。
    今年度から、大阪府国際交流財団に設置している外国人相談の体制を拡充したところであり、今後実施する外国籍住民等へのアンケート調査等も踏まえ、庁内関係部局はもとより、国や市町村、民間団体等と連携し、「外国人が安心して働き、暮らせる環境づくり」がさらに進むよう、検討を深めていきます。

    14.人権尊重の社会づくり

    ・人権尊重の社会づくりのための取組みについて問う。
    (知事答弁) 個人には様々な個性がありますが、生まれながらに持っているもので差別されることがあってはならず、私は、全ての人の人権が尊重され、差別のない社会を目指していきたいと考えています。
    今回、その中でも特に性的マイノリティに関する理解が進んでいない現状や人の尊厳を傷つけるヘイトスピーチの実態は放置できるものではない、との思いで、3条例の制定・改正を提案しました。
    この分野については、市長時代に引き続き府知事になってからも取り組んでいきたいと考えています。
    今後、あらゆる差別を許さないという府の姿勢を明確にして、府民や事業者とともに、世界都市にふさわしい真の共生社会を目指してしっかりと取り組んでいきます。

    15.災害時の電源確保対策

    ① 無電柱化推進に向けた取組みの加速について問う。
    (都市整備部長答弁) 府では、「大阪府無電柱化推進計画」を平成30年3月に策定し、「都市防災の向上」、「安全で快適な歩行空間の確保」、「良好な都市景観の形成」の観点から、無電柱化を進めているところです。
    府において、昨年9月の台風第21号で多数の電柱が倒壊し、府民生活に支障を及ぼしたことから、特に「都市防災の向上」の観点で、緊急車両の通行するルートとなる広域緊急交通路や防災拠点へアクセスする道路などにおいて、重点的に無電柱化を推進していくこととしています。
    無電柱化の更なる推進にあたっては、電線類を地中化するコストが高いことから、小型ボックスを導入するなどの低コスト化が必要であり、府では、これらの標準化が実現できるよう、国に要望しているところです。

    ② 災害時の電源確保に向けた取組みについて問う。
    (危機管理監答弁) 昨年、台風21号による大きな教訓の一つは、大規模停電に対する対応です。
    府としては、これまで、市町村に対し、庁舎など防災拠点の非常用電源整備を働きかけるとともに、避難所での代替電源の確保にかかる先進自治体の取組事例の紹介や、全国的な助成制度を活用して地域の自主防災組織が発電機等の資機材を購入することを促すなどの取組みを行っています。
    さらに、電力会社に対し、昨年の台風21号の直後に府から、経過検証の実施、改善策を講じることの申入れを行いました。
    その後、電力会社では、被害全容の早期把握や応援体制の強化など、早期の停電復旧に向けた取組みを強化するとともに、府をはじめ府内市町村と協議のうえ、防災拠点や医療機関など、優先的に復旧する施設のリスト化を進めていきます。
    加えて、発電機車を増やすなど、復旧が長期化する場合に備えた代替電源の確保についても強化していただいたところです。
    今回の台風第15号では、停電が長期化したことなどにより、熱中症による死亡者が出るなどの二次災害にもつながったことから、その教訓も踏まえ、停電の早期復旧に向けた自治体の協力のあり方や代替電源のより一層の充実について、電力会社と協議を行い、更なる対応力強化について取り組んでいきます。

    16.災害時要配慮者対策

    ・特別支援学校の福祉子ども避難所への指定について問う。
    (危機管理監答弁) 福祉避難所については、要配慮者のニーズに沿った多様な施設を指定することが必要です。
    このような考え方から、市町村に対し、府立支援学校を福祉避難所の一つとして検討していただくよう働きかけてきました。現在では、7校が福祉避難所として指定されているところであり、今後とも、教育庁と連携しながら、取り組んでいきます。
    お示しの福祉子ども避難所については、特別な配慮を要する児童・生徒が、自ら通っている支援学校を避難所として過ごすことで、安心した避難生活を送ることができる一方で、災害時には、居住地近くの避難所から離れた支援学校まで、ご家族とともに移動していただく必要があること、また、市域外から計画的に避難者を受け入れることについて、避難所を設置する市町村の理解と協力が必要であること、避難所運営に対する支援学校の関わり方などの課題があります。

    17.性暴力被害者支援

    ・SACHICOへの支援について問う。
    (危機管理監答弁) 性暴力救援センター・大阪SACHICOには、性暴力被害者に対する心と身体のケアに尽力していただいており、府としても、平成29年度から国の交付金を活用し、その活動を支援しているところです。
    性犯罪被害については、その潜在化や被害の継続化を防止する観点から、警察に相談していただくことが重要と考え、警察公費による医療費負担で対応してきたところです。
    しかしながら、議員お示しのとおり、警察に相談できず、その結果、警察公費による医療費負担の措置を受けることができない被害者の方が、昨今増加しているのが実情です。
    府としても、そうした実情を踏まえ、医療費補助も含めたSACHICOに対する支援のあり方について検討を進めていきます。

    18. 女性の就業支援

    ・女性の有業率向上のための支援について問う。
    (商工労働部長答弁) 大阪府では、OSAKAしごとフィールドにおいて就活と保活(※子どもを保育施設に入れるために保護者が行う活動)を一体的に相談できるよう、専属のカウンセラーを配置して支援を行うとともに、正社員としての就職を希望する方に対して、スキルアップを図ることのできるプログラムを提供しています。
    また、毎年、女性のための合同企業説明会「ハッピーJOBフェア」を開催していますが、今年度からは、ハローワーク大阪東のマザーズコーナーと連携した合同面接会を開催する等、企業とのマッチングを強化しているところです。

    19.国際的な女性会議の開催

    ・大阪での国際的な女性会議の開催について問う。
    (知事答弁) G20大阪サミットにおいても、配偶者プログラムを大阪府主導で実施し、ここ議場でも子どもを交えて環境問題について議論をしました。
    性別にかかわらず、すべての人が持てる力を存分に発揮し、あらゆる分野で活躍できる元気な大阪を実現するため、オール大阪で女性活躍に向けた取組みを進めています。
    大阪府では、大阪市、経済団体、大阪観光局と一体となって国際会議の誘致に取り組んでおり、今後、国際的な女性会議やフォーラムの誘致や開催についても考えてまいります。

    20.事業承継支援

    ・効果的な事業承継支援策について問う。
    (商工労働部長答弁) 後継者候補が確保できていない事業者については、親族内承継だけでなく、親族外承継やM&Aなど様々なニーズに対応する必要があることから、事業承継ネットワークでは、中小企業庁事業として全国の事業の譲渡や買収を希望する企業のデータベースを活用できる「大阪府事業引継ぎ支援センター」や「大阪府プロフェッショナル人材戦略拠点」など専門支援機関を通じて、マッチングを行っています。
    伴走支援については、大阪商工会議所内に設置した「事業承継相談デスク」などの専門相談をはじめ、今年度は、事業承継ネットワークのコーディネーターや商工会・商工会議所の経営指導員等が、昨年度、支援機関や関係者向けに作成した「事業承継ハンドブック」を活用し、事業者それぞれに合った事業承継計画の策定などきめ細やかな支援を行っているところです。
    また、大阪府では、大阪信用保証協会、大阪信用金庫及び民間ベンチャーキャピタルが共同し、主に従業員など親族外の後継者が負担しなければならない株式取得費用を支援する「おおさか事業承継・創業支援ファンド」が9月30日に立ち上がり、事業承継ネットワークでの資金支援の強化を図ったところです。
    なお、来年度に向け、中小企業庁では、事業引継ぎ支援センターの機能強化や、外部の後継者候補のトライアル雇用制度のほか、個人保証の引継ぎ問題の軽減に向けた取組みなどが検討されています。府としても、これらの動向をしっかり見極め、さまざまな支援策が必要なところに適切に届くよう、事業承継ネットワークの最大限の活用に努めていきます。

    21.今後の中小企業施策

    ・今後の中小企業施策の進め方について問う。
    (商工労働部長答弁) 今後の中小企業施策を進めるにあたっては、まずは中小企業のグローバル化を促進し、成長するアジアと大阪がボーダレスにつながり、中小企業の海外進出や府内への投資を促進することが重要です。
    また、5GやAI・IoTなどの第四次産業革命やキャッシュレス化の進展への対応等、あらゆる分野でのイノベーションを創出するとともに、産学官連携などを進め、中小企業の活躍の幅を拡げることで、生産性向上による競争力の強化や新産業の創出につながるものと考えます。
    さらに、女性・若者・障がい者・高齢者、そこにより多くの外国人材が加わるなど、多様な人材が活躍できる環境づくりにもしっかり取り組み、その幅広い活躍を中小企業の成長に結びつけていく必要があります。
    2025年大阪・関西万博を見据え、これら施策をさらに加速させ、より一層グローバルなビジネス環境のもと、より多くの外国人・外国企業も受け入れながら、中小企業の持続的成長を促し、大阪産業の一層の発展につなげていくことで、アジアの中で確たる地位を占める大阪が実現するものと考えます。

    22.教職員の事務負担軽減対策

    ・スクールサポートスタッフ制度の活用について問う。
    (教育長答弁) 府教育庁では、教員の負担軽減を進め、子どもたちと向き合う時間を確保するため、部活動指導員等の外部人材を配置するなど、児童・生徒に対する直接的効果のある支援を優先して取り組んでいるところです。
    ご指摘のスクールサポートスタッフについては、現在38団体と配置する都道府県が増加し、また、配置している都道府県においては、教員の総勤務時間数の減少など一定の効果が出ていると聞き及んでいます。
    市町村の取組みを支援する多様なメニューを提供すべきとのご指摘も踏まえ、今後、スクールサポートスタッフを配置している他府県や独自に配置している市町村にヒアリングを行うなど、教員の負担軽減の状況や教育活動への効果などを確認し、来年度の実現に向けて検討を進めてまいります。

    23. 高卒就職者支援

    ・高校における進路保障機能の充実について問う。
    (教育長答弁) 全ての子どもに学びを提供し、社会へ送り出していくことが教育の役割であり、貧困、障がい、その他様々な事情で困難を抱えている生徒への支援はとりわけ重要であると認識しています。
    お尋ねの卒業後の進路状況については、進路が未決定のまま卒業する者が一定数おり、また、就職しても短期間で離職しているという状況もみられます。さらには支援を必要とする生徒が年々増加しており、府立高校における進路保障機能を強化させることが喫緊の課題であると認識しています。
    こうした認識の下、今般、その方向性を取りまとめました。具体的には、キャリア教育に学校全体で取り組んでいくための羅針盤となる高校3年間を通したロードマップを作成し、社会人として自立できるようなキャリア教育を実施します。
    その上で、専門人材の力を活用し、企業開拓やインターンシップ、また、企業とのマッチングをしっかり行っていきます。
    また、一定期間、卒業後もフォローすることにより、個々の生徒を地域の福祉機関・労働機関にしっかりとつなぎ、将来にわたる支援体制を整えていきたいと考えます。
    こうした総合的な取組みを進め、全ての生徒が社会に出て次のステップに進めるよう、府立高校の進路保障機能の充実を図っていきます。

    24. 中学校チャレンジテストの見直し等

    ① 高校入学者選抜における府内統一ルールの変更について問う。
    (教育長答弁) 入学者選抜における調査書の評定に関しては、各中学校における絶対評価の公平性を担保するため、引き続き、大阪府内共通の「ものさし」となる府内統一のルールが必要と考えています。
    一方で、これまでのルールに関する課題等について、各方面から様々なご意見をいただいてきたところであり、この度、次の2点について修正することとしたいと考えています。
    まず、現在の1・2年生のルールは廃止したうえで、全学年とも、現在の3年生で実施している絶対評価の公平性の担保の仕組みに一本化し、より分かりやすい制度とします。
    また、2点目として、これまで3年生では5教科のテスト結果をテストを実施しない4教科を含む9教科にあてはめていましたが、新たなルールでは、チャレンジテスト実施教科の結果を、当該教科の評定にあてはめることとします。
    今後も引き続き、安定した入学者選抜制度となるよう、中学校、市町村教育委員会に対して、丁寧な説明に努めてまいります。

    ② 小学生力だめしテスト(仮称)について問う。
    (教育長答弁) 依然として小中学校の学力に課題が見られる状況の中、府内全小中学校において、子どもたちが自分自身の学習を振り返り、その後の学習に生かすとともに、学校が進めている取組みを検証、改善し、中学校へつなげるシステムを定着させることをねらいとして、新たに小学校段階での府内統一テストを実施したいと考えています。
    子ども一人ひとりの採点・分析結果等を家庭と学校に届けることで、教員の作業量が軽減され、子どもと関わる時間を確保でき、取組みの充実が図れると考えており、実施に向けて検討を進めていきます。

    25. 新大学基本構想

    ・新大学基本構想における多くの学生に目指してもらうための特徴的な取組みについて問う。
    (府民文化部長答弁) 公立大学法人大阪が策定した「新大学基本構想」では、幅広い分野を擁する総合大学として、世界に展開する高度研究型大学をめざすこととしています。
    まず、教育面では、特に1・2年次に行う基幹教育に力を入れ、「地域に根差し世界に羽ばたく人を育成する」との考えのもと、世界で活躍するために当然身に着けるべき教養、生涯にわたって学び続ける姿勢、専門教育に向けた体系的な準備学修を行うとしています。
    このため、少人数で能動的な学習を行う基幹ゼミナールをはじめ、英語や情報リテラシーなどの科目をさらに強化・充実させるとしています。
    研究面においては、両大学を統合することにより、医学と農学や、医学と獣医学などの異分野融合研究を推進するとし、こうした強みの分野、特色のある研究に重点的に投資するとしています。
    また、国内外で活躍する著名な研究者の招へいや登用を行うなど、グローバルな研究拠点となることを目指すとしています。
    法人では、こうした取組みを進め、多くの学生が目指したいと思う特徴ある教育・研究を実施することとしています。

    26. 府大等における授業料等の無償化等

    ①府立大学等の授業料等の無償化について問う。
    (府民文化部長答弁) 大阪府立大学・大阪市立大学等の無償化にかかる予算額については、一定の仮定のもと試算を行ったところ、初年度となる来年度は、約11億円程度、学年進行により実施するため、制度4年目以降は約30億円程度と推計しています。
    また、これとは別に国の無償化制度の府大分として約8億円を見込んでいます。

    ②国制度の拡充による府の財政負担の軽減について問う。
    (財務部長答弁) 本府では、機会均等や人づくりに資するため、国に先がけて私立高校授業料の無償化に取り組んできたところです。来年4月から国の就学支援金が拡充されることにより、府の財政負担は、概算で65億円程度軽減されると見込んでいます。
    このような中、次世代のための取組みの強化として、府独自で多子世帯の支援拡充と標準授業料の引上げを、今年度から学年進行により実施しており、全学年が対象となる令和3年度の概算で25億円程度の所要額を見込んでいます。

    ③国制度の拡充による財源の活用について問う。
    (知事答弁) 本府では、成長と安全・安心のよき循環による豊かな大阪の実現に向けて、大阪・関西万博を見据えた取組み、都市魅力の向上や次世代の大阪を担う人づくりなどの施策に、限られた財源を重点的に配分しています。
    私立学校の授業料に係る国の就学支援金が拡充されれば、財政規律を堅持する中で、その財源は、府大、市大の高等教育の無償化を含めて、教育や子育てをはじめとした次世代のために活用していきたい。

    27. 文化芸術支援

    ・次世代の文化の担い手支援について問う。
    (府民文化部長答弁) 文化を守り育てることが都市を成長させ、都市の魅力向上につながると認識しています。府では、第4次大阪府文化振興計画で、芸術文化を創造し、支える人材の育成・支援の充実や、将来の社会の担い手となる青少年の育成に取り組むこととしています。
    具体的な取組みとしては、府内の子どもたちが参加・発表する芸術文化活動や、優れた芸術文化の鑑賞機会などを提供する事業に対して支援しています。さらに、文化を核とした大阪の都市魅力を創造・発信する「大阪文化芸術フェス」においては、若手芸術家に発表の機会を提供しており、次世代育成にもつなげています。

    28. ワールドマスターズゲームズ支援

    ①ワールドマスターズゲームズの認知度向上について問う。
    (府民文化部長答弁) 「ワールドマスターズゲームズ2021関西」の開催は、生涯スポーツの振興及び府民の健康増進へ寄与するものであると認識しています。
    府としては、知事をトップとする大阪府実行委員会を設置し、組織委員会や府内開催市とともに、民間企業、プロスポーツチーム等の協力も得ながら、広報・啓発に取り組んでいるところです。
    具体的には、8月に、岸和田市で関西のプロバスケットチームと連携した自転車競技BMXの体験イベント等を実施し、大阪府民だけでなく近隣府県からも多くの方に参加いただきました。

    ②財政支援について問う。
    (府民文化部長答弁) 本大会に向けた取組みとしては、現在、組織委員会へ職員を派遣しているとともに、府実行委員会を立ち上げ、組織委員会や競技開催市との連絡調整を行っています。
    また、企業から協賛が得られるよう、働きかけを行っており、来年2月から始まる参加者募集に向けて、その協賛金を活用して、PR活動に取組むこととしています。
    府としては、引き続き、組織委員会や競技開催市などと連携し、大会の成功に向けて、しっかり取り組んでまいります。

    ③競技への知事の参加について問う。
    (知事答弁) ワールドマスターズゲームズ2021関西は、誰もが参加できるスポーツ大会で、この機会にスポーツに触れることで、府民の健康増進につながるものであることから、ひとりでも多くの方に参加していただきたいと考えています。
    私自身も、ご提案がありましたので、参加する方向で頑張りたいと思います。

    29.港湾一元化

    ・府市港湾管理一元化による国際競争力と防災機能の強化について問う。
    (都市整備部長答弁) 大阪湾諸港の競争力強化は、喫緊の課題であると認識しています。そのため、府市港湾局の設置により、港湾機能の強化につなげていきます。
    物流機能としては、例えば、大阪港と府営港湾の貨物の輸出入先や取扱量などの利用情報を迅速に共有し、的確に情報を提供することで、荷主等がより効率的な物流ルートを選択することが可能となります。
    さらに、共有した情報により、荷主のニーズをもとに府、市が一体となって船会社等に働きかけることで、定期航路の拡充等につなげるなど、集荷促進を図ります。
    また、災害の復旧においても、被災状況や緊急性に応じ、一元化された指揮命令系統のもと、府市港湾局の職員が一体となって復旧作業や対応を実施するとともに、利用者へのサービスの維持を図ることが可能になります。
    併せて、沿岸市町とも連携し、府市すべての港湾、海岸において、防災機能の強化を図るとともに、府市港湾局全体のノウハウを活かしたきめ細かな対応に取り組んでいきます。

    30.未来医療国際拠点

    ・中之島4丁目の未来医療国際拠点の実現に向けた取組みについて問う。
    (商工労働部長答弁) 議員お示しのとおり、再生医療など、最先端の医療を臨床研究段階から、実用化・産業化へと推し進め、身近な医療として普及していくためにも、未来医療国際拠点の早期実現が不可欠です。
    本拠点では、民間企業と医療機関等が集積する最大の特長を活かし、アカデミアとの密接な連携のもと、民間主体による未来医療の「創造」と「実践」を車の両輪として循環させながら、産業化と最先端医療の推進を支援していく。そのためにも、本事業の実現を確実なものとするため、まずは、優先交渉権者・大阪市などと協議中の基本合意書について、年内締結をめざします。
    今後、京都や神戸といった関西圏をはじめ、広く国内外の研究機関や拠点とも連携しながら、世界から注目される未来医療国際拠点となるよう推進し、2025年の大阪・関西万博等の機会をとらえ、世界に発信していきます。

    31.自動車事故安全対策

    ・高齢者の安全運転対策について問う。
    (知事答弁) 府内での交通事故の件数は年々減少していますが、高齢者の事故は高止まりにあり、割合では増加しており、中でも死亡など重大な事故が増えてきています。高齢者の皆さんも加害者になりたいとは誰も思っておられず、悲惨な事故を防ぎ、府民の安全・安心を確保することは、喫緊の課題です。
    このため、国に運転免許制度の改善を要望しましたが、府としては、国の運転免許制度が改正されるまでの緊急対策として来年度から、75歳以上の高齢者で、かつ認知機能低下のおそれがある方を対象とした安全運転支援装置等の設置補助を実施したいと考えています。

    32.山地災害対策

    ・森林環境税による山地災害対策について問う。
    (環境農林水産部長答弁) 一昨年の九州北部豪雨や昨年の西日本豪雨の被害状況を踏まえて国が示した新たな知見等に基づき、府内での危険箇所の再精査を行ってきました。
    再精査に当たっては、府域の全ての渓流、約2,900箇所を対象として、
    ・水が集まりやすい、いわゆる凹地形の面積が、流域内で占める割合をはじめ、
    ・渓流の勾配、
    ・下流の人家の有無などを確認し、
    ・さらには、渓流の荒廃状況等の現地調査を行った結果、
    現行の森林環境税での対策箇所30箇所とは別に、新たに56箇所の重点対策箇所が抽出されました。
    近年の豪雨の発生状況を考えると、これらの渓流では土石流や流木災害が発生し、人的被害の起きる危険性が非常に高く、治山ダムの設置や危険木の除去による流木発生の抑止など、これまでと同様の対策を講じる必要があります。
    その財源として、今年度で終了する森林環境税を4年間延長する条例の改正を今議会に提案させていただいたところです。
    ご議決いただければ、地元地権者との調整を開始し、順次、山地災害の予防的対策を実施することにより、府民の安全安心の確保に取り組んでまいります。

    33.SDGsの推進

    ①SDGsで取組みを強化すべきゴールについて問う。
    (政策企画部長答弁) 「大阪がめざすSDGs先進都市の姿」の中間整理において、日本の国際評価と大阪の国内評価を分析しました。その中で、「ゴール1貧困」や「ゴール3健康福祉」などのゴールについて、万博のテーマである「命」にかかわるものでありながら、大阪として課題があることが明らかとなりました。
    SDGsは、様々な取組みを重層的に行うことで、それぞれのゴールに近づけるものです。
    現在大阪府では、子どもの貧困対策や、府民の健康づくり、「10歳若返り」のモデル事業などの施策を進めているが、行政のみならず、多くのステークホルダーが様々な取組みを進めていくことが、課題解決につながると考えています。
    今後、「めざす姿」を明確にする中で、府民や企業と共に、更なる取組みの充実・強化に努めていきます。

    ②SDGs未来都市選定に向けての取組みについて問う。
    (知事答弁) SDGsの推進は、様々なステークホルダーが自律的に取組みを進めることに大きな意味があります。
    このため、広域自治体である大阪府が「先進都市の姿」を明確にし、自ら取組みを進めることはもとより、府民により身近な市町村が、それぞれの特徴を生かした取組みを行うことが重要だと考えています。
    こうした考えのもと、府自ら国の「SDGs未来都市」への応募を進めるとともに、府内市町村においても検討が進むよう、市町村ごとの特性を踏まえ、きめ細かに働きかけを行っていきます。

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